Blave のコア Alpha 指標のひとつ——何を測るのか、なぜ重要なのか、そしてそれを使って戦略を組み立てる三つの方法。
暗号資産取引所のすべての約定にはメイカー(板に置かれた指値注文)とテイカー(それに対して約定する成行注文)が存在します。テイカー強度(TI)は、ローリングウィンドウ内における成行買い注文と成行売り注文の純差を標準化した値を測ります。
| TI の値 | 意味 |
|---|---|
| 正(+) | 成行買い圧力が優勢——トレーダーが積極的に買っている |
| ゼロ(≈ 0) | 均衡——どちらの側も優勢ではない |
| 負(−) | 成行売り圧力が優勢——トレーダーが積極的に売っている |
値は直近の履歴に対して標準化されているため、出来高の絶対的な水準ではなく、現在の偏りが過去の期間と比べてどれだけ異常かを表します。同じ買い量でも、非常に活発な市場では TI が +0.5、閑散な市場では +2.5 になり得ます。Blave は六つの時間軸で TI を提供しています:15min、1h、4h、8h、24h、3d。長い時間軸ほど滑らかでポジション戦略に向き、短い時間軸はノイズが多い一方で反応が速くなります。
ここで多くの人がこの指標を読み違えます。成行買い注文には二つの発生源があります。
TI がエントリーのしきい値を超えたらロングし、エグジットのしきい値を下回ったらポジションを閉じます。二つのしきい値の間にあるデッドゾーンが、TI が一つの水準の近くで揺れ動くときに戦略が売買を繰り返すのを防ぎます。
ENTRY_TH = 1.686
EXIT_TH = -0.473
def compute_signals(df, entry_th=None, exit_th=None):
eth = entry_th if entry_th is not None else ENTRY_TH
xth = exit_th if exit_th is not None else EXIT_TH
ti = df['TI']
signal = pd.Series(np.nan, index=df.index)
signal[ti > eth] = 1.0 # ロングでエントリー
signal[ti < xth] = 0.0 # ポジションを閉じる
return signal
これが btc_ti_5min のサンプル戦略そのままのロジックです——24h ウィンドウの TI を 5 分ごとに判定します。ENTRY_TH = 1.686 と EXIT_TH = -0.473 という値はパラメータスキャンで見つけたものであり、当て推量ではありません。
別途独立して行ったバックテスト(2022/01–2025/12、TI 1.8 超でロング / -1.8 未満でショート——btc_ti_5min とは異なるしきい値)では、強気・弱気の両局面を通じて総リターン +1000.3%、最大ドローダウン -27.74%、シャープレシオ 1.682 という結果でした。二つのパラメータセットは異なりますが方向性は一致しており、TI のモメンタムフィルターがしきい値をまたいで通用することの裏づけになります。ただし、どのしきい値でも機能するという保証ではありません。必ず自分でスキャンして検証してください。
ゼロラインをシグナルのしきい値として扱います。TI がゼロを上抜けたらロング、下抜けたらポジションなしにします。直感的ですが、15min や 1h の時間軸では短命なトレードが大量に発生し、手数料がかさみがちです。クロスの意味が大きくなる 8h や 24h のウィンドウのほうが向いています。
signal[ti > 0] = 1.0 signal[ti < 0] = 0.0
TI を別の主シグナルに対するゲートとして使います。TI が正(純粋な買い圧力が存在する)のときだけエントリーを採用します。これにより、トレンド戦略が強い売り圧力の環境でエントリーするのを防げます。
primary = compute_primary_signals(df) # 例:SMA クロス ti_positive = (df['TI'] > 0) signal = primary.copy() signal[~ti_positive] = 0.0 # TI が負のときはエントリーを抑制
レジームフィルターは通常、トレード回数と手数料を減らしつつシャープレシオを改善しますが、一部のトレードを逃すという代償があります。より長い時間軸(8h、24h)の TI を、より短い間隔で動く戦略のマクロフィルターとして使うのが最も効果的です。
| TI ウィンドウ | 向いている用途 | 備考 |
|---|---|---|
15min | 超短期のスキャルピング | ノイズが非常に多く、手数料負担が大きい |
1h | 日中戦略 | バランス型 |
4h | スイング戦略 | シグナルは少ないが、質は高い |
8h | 短期戦略のレジームフィルター | 良好なマクロシグナル |
24h | 日次のポジション管理 | 最も滑らかで、ノイズが最少 |
3d | 数日単位のトレンド確認 | 非常に滑らかで、レジーム判定に適する |
btc_ti_5min では、戦略は 5 分ごとに実行されますが、使うのは 24h の TI です。これは意図的な設計です。5 分ごとに判定する速さ(TI がしきい値を超えたらすぐ反応する)は欲しいが、5 分ウィンドウの TI が持つノイズは要らない、ということです。
TI は単独でも有用です。そして Blave の他の Alpha 指標と組み合わせると強力になります。
| 組み合わせ | 目的 |
|---|---|
| TI + 保有集中度(HC) | 本物の買いとショートスクイーズを見分けます——HC × TI の完全なマトリクスは保有集中度ガイドにあります。 |
| TI + ホエールハンター(WH) | WH は大きな OI/出来高の変化を検出し、TI が方向を確認します。両方が強ければ確信度の高いエントリーです。 |
| TI + 市場方向(MD) | MD をマクロフィルター、TI をエントリートリガーとして使います。トレンドに逆らうトレードを減らせます。 |
stat フィールド(up_prob、exp_value、return_ratio)が各指標の読み値に対する過去の文脈を示します。統計値を信頼する前に、必ず is_data_sufficient を確認してください。